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肌の健康のための専門情報

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「リジュラン=再生注射」という言葉、検索するとあちこちで見かけます。ただ、その「再生」に根拠があるのか、それともただの通称なのかは、意外とはっきりしないままのことも少なくありません。
韓国・明洞院でも、この質問はよくいただきます。私はこの成分を扱った論文の著者ではありませんが、どの施術をおすすめするかを決めるには、まず根拠を読み込むのが私の仕事です。そのため、ポリヌクレオチド(PN)に関する研究にはかなり目を通してきました。今日は「再生されるらしい」という話の裏側を、一緒に確認していきたいと思います。研究がどこまで示していて、どこからはまだ分かっていないのか、というところまで。
先にお伝えしておきたいことがあります。コラーゲンブースター・スキンブースターの分野では、根拠よりも先に華やかな言葉が広がりがちな傾向があります。だからこそ「再生」という言葉に出会うと、私は反射的に問いかけるようにしています。何を、誰を対象に、どんな条件で確認された再生なのか、と。
ポイントまとめ
- PN(ポリヌクレオチド)は、サケなどの魚類DNAから抽出された高分子DNA断片です。リジュランが代表的なPN注射です。
- 複数の方を対象にしたランダム化比較試験で、弾力・肌のキメ・シワの深さに改善傾向が報告されています。ただし、試験の規模は全体的に小さく、観察期間も短いものが中心です。
- コラーゲンを増やす肌再生のメカニズムは、2025年の研究で「免疫細胞—線維芽細胞」の経路として詳細に確認されています。ただし、これは細胞・動物段階の結果です。
- レビュー論文は冷静な見解を示しています。顕著な改善を示した研究もあれば、限定的だったり効果が見られなかったりした研究もあり、より大規模な臨床試験が必要だとしています。「再生を保証する」と断定的に解釈すべきではありません。
現在の根拠でお話しすると、PNは複数の方の臨床試験で肌の弾力・水分・キメを改善する傾向が報告され、コラーゲンを増やすメカニズムも細胞・動物研究で確認されています。ただ、「再生」という言葉を断定的に用いるには、大規模で長期の臨床試験がまだ足りていません。
まず用語から整理します。PN(ポリヌクレオチド)はサケのような魚類DNAから精製された長鎖のDNA断片で、リジュランは韓国で広く知られたPNスキンブースターです。いわゆる「再生注射」と呼ばれる同系列の製剤です。名前の似たPDRN(ポリデオキシリボヌクレオチド)はこれより短い断片で、系統は同じですが製品群が異なります。2024年のレビュー論文も、PNの作用のかなりの部分をPDRNのメカニズムで説明しています。細胞増殖を助け、血管新生を促し、炎症を抑える方向です。
韓国・明洞院で私がリジュランをおすすめするかどうかを判断する基準にしているのは、この二層の根拠です。一つは「なぜ効くのか」を説明するメカニズム研究、もう一つは「人で実際どうだったか」を見た臨床研究。この二つを分けて見ることで、誇張にも失望にも傾きにくくなります。根拠に基づく施術ほど、その根拠の条件まで併せてお話しする必要があると考えています。
私がリジュランを判断する際の基準にしているメカニズムは、以下の通りです。PNが肌の中で免疫細胞と線維芽細胞の間のシグナルを変え、コラーゲン合成を高めるという流れです。2025年の研究が、この経路を細胞と動物で段階的に確認しています。

PNが作用する真皮層。魚類DNAから精製された長鎖断片が広がり、免疫細胞と線維芽細胞のシグナルを変えることで、新しいコラーゲンが少しずつ積み重なっていく。
このInternational Journal of Molecular Sciencesの2025年研究によると、以下の点が明らかになっています。老化させた皮膚モデルにPNを加えると、マクロファージという免疫細胞がA2A受容体を介してシグナル(cAMP/PKA/CREB)の伝達経路を活性化させ、PCK1という酵素を増やしました。すると、二つの変化が続きます。細胞の酸化ストレスが減り、マクロファージが回復を促すM2型に変化して、IL-10やTGF-βといったシグナルを出しました。このシグナルを受け取った線維芽細胞が、Ⅰ型とⅢ型のコラーゲンをより多く産生しました。研究チームがPCK1の働きを阻害すると、この効果は減弱しました。この酵素が経路の重要な要になっていることがうかがえます。

PNがコラーゲンを増やすシグナルの流れ。PNが免疫細胞を回復を促すM2型へ変化させ、そのシグナルが線維芽細胞のコラーゲン産生スイッチをオンにする。2025年の研究が細胞と動物で確認した経路。
動物の肌でも、方向は同じでした。時間が経つほどコラーゲン密度(マッソン三色染色)が上がり、肌の弾力の測定値も併せて向上しました。ここまでが、「コラーゲンブースター」という名前どおりのメカニズムが実際に観察された部分です。

生理食塩水(最左)とPN処理3/7/28日後のマウス皮膚を、マッソン三色染色で見たもの。青く染まった部分が真皮のコラーゲン繊維で、PN後は時間が経つほど密になる。出典: Byun et al. Int J Mol Sci 2025;26:8720, Figure 6 (CC BY 4.0)。動物段階の結果であり、ヒトでの程度をそのまま示すものではない。
そのため、PNはフィラーとは効果が現れるまでの期間が異なります。フィラーは注入してすぐにボリュームが出ますが、PNは体が新しいコラーゲンを作る数週間から数カ月を待って、はじめて変化が積み重なっていきます。翌日に鏡で判断する施術ではない、ということです。
小規模から中規模のランダム化比較試験で、PNは目元のシワの深さや肌の弾力を改善する傾向が報告されています。結果にばらつきが見られる研究もあるため、規模と期間を併せて見るのが正確です。
2024年のレビューが根拠のグレードまで評価して整理した研究の中から、設計がしっかりしたものをいくつかご紹介します。
| 研究(著者) | 設計 / 規模 | 確認された方向 |
|---|---|---|
| Yogya et al. | ランダム化比較、120名 (マイクロニードルRF単独 / RF+PN / 無処置) | 両処置群ともに6カ月でシワの深さ・弾力が改善、PN併用でより大きい |
| Kim et al. | 20名、3Dカメラ測定、1/3/6カ月 | 目元のシワの深さ減少・弾力改善、良好な忍容性 |
| Jeong et al. | 半顔(split-face)、20名 (PCL vs PNフィラー) | 12週で両群とも目元のシワが改善 |

根拠にはグレードがある。PNの再生メカニズムは細胞・動物段階で詳細に確認され、人での臨床は主に小規模・短期で改善傾向を示した。まだ大規模・長期の臨床が埋めるべき課題が残されている。
私は明洞院で、この表を規模と期間から読み解きます。最大の研究でも120名程度、観察は6カ月前後です。目元のように特定部位に集中した小規模研究が多く、顔全体の「再生」を長期に追跡した大規模臨床は、まだ多くありません。このデータが示しているのは「PNが改善傾向を示す可能性がある」というところまでです。一人ひとりの肌が「どれくらい良くなるか」まで予測するものではありません。
💡 かんたんに言うと - メカニズム研究は「なぜ効くのか」を、臨床研究は「人でどうだったか」を答えます。PNは前者の根拠が最近しっかりしてきた一方で、後者は改善傾向を示すものの、規模と期間がまだ必要な段階です。
そのままヒトに当てはめることはできません。メカニズム研究は細胞と動物段階なので、「作用の方向」を示す根拠であって、「あなたの肌での改善幅」を保証する根拠ではありません。
科学的な根拠には、信頼性の順序があります。細胞実験、動物モデル、人での臨床の順に、人へ適用するときの信頼度が上がっていきます。2024年のレビューの結論を要約すると、PNは肌の弾力・水分・キメの改善に潜在的な可能性を示したものの、研究ごとに効能と安全性の程度が異なり、最適な用量・間隔・適応を確立するにはより大規模な研究が必要、というものです。著者らは、臨床医が現在の限界と潜在的なリスクの両方を理解しておくべきだと強調しています。
| 研究がこれまで答えたこと | まだ人で確認すべきこと |
|---|---|
| PNがコラーゲン合成を増やすメカニズムが細胞・動物で確認された | 人の肌での改善がどの程度か |
| 複数の臨床で弾力・シワの改善傾向が報告された | 効果がどれくらい持続するか |
| 概ね良好な忍容性を示す施術と報告された | どんな肌状態で反応が大きいか |
⚠️ 知っておいてください - PNは注射施術です。内出血や腫れ、赤みが数日続くことがあり、注入の深さや量が適切でないと、まれに結節のような問題が生じることもあります。多くは時間とともに落ち着きますが、個人差があります。また、コラーゲンが新しく作られていく流れのため、変化は数週間から数カ月かけて積み重なる累積型です。施術前に肌の状態と病歴を十分に共有いただくことが、結果の最適化と安全性の確保につながります。
肌が薄くなり、小じわ・弾力低下・目元のキメが気になる方には適していると言えます。一方で、すぐにボリュームを補いたい方には、別の施術アプローチが適しています。
当院の診療で、施術の方向性を判断する際のポイントをいくつかご紹介します。

明洞院の保管棚のリジュラン正規品。どの製品を使っているかをそのままお見せできてこそ、根拠のお話にも説得力が生まれる。
一つだけ付け加えると、論文が優れていても、施術は最終的に製品の品質と施術者の技術によって完成されます。明洞院でリジュラン正規品をそのままお見せするのも、これらの研究で確認したメカニズムと限界を基準に、一人ひとりに合わせた注入層・量・回数を判断しているのも、同じ理由です。根拠を語るには、まず根拠の条件を整える必要があるからです。
どちらも魚類DNAから得られた断片ですが、長さが異なります。PN(ポリヌクレオチド)はより長い鎖で、PDRN(ポリデオキシリボヌクレオチド)はより短い断片です。リジュランはPN系の製剤です。2024年のレビューは、PNの作用のかなりの部分を、PDRNのメカニズム(細胞増殖・血管新生・抗炎症)で説明しています。
現在の根拠では、人の肌で「何%」といえる標準的な数値はありません。コラーゲン合成が増えるメカニズムは細胞・動物で確認されていますが、人での増加量は研究ごとに異なり、個人差も大きいです。数値で断言する説明に出会ったら、むしろ慎重になるのが正解です。
すぐにボリュームが出る施術ではなく、コラーゲンが新しく作られる数週間から数カ月をかけて変化が積み重なっていく流れです。体がコラーゲンを作る速度は年齢や肌の状態によって異なるため、実感の時期には個人差があります。
注射施術のため、内出血、腫れ、赤みが数日続くことがあります。注入の深さや量が適切でないと、まれに結節が生じることもあります。臨床試験では概ね良好な忍容性を示す施術と報告されていますが、個人差がありますので、施術前に肌の状態と病歴を十分に共有いただくのがよいでしょう。
メカニズム研究はジャーナル情報(International Journal of Molecular Sciences 2025、DOI 10.3390/ijms26178720)で、臨床の整理は同じジャーナルの2024年レビュー(DOI 10.3390/ijms25158224)で検索すれば、原文を直接確認できます。どちらもオープンアクセスなので、どなたでも出典を検証できます。
「リジュランを受けると肌が再生するのですか」というご質問に、今の私がお伝えできる、いちばん率直な答えは、こうです。PNはコラーゲンを増やすメカニズムが細胞と動物で確認され、複数の方の臨床で弾力と目元のシワが改善する傾向が報告されている。これが科学的根拠の示している範囲です。
同時に、人での臨床は全体的に小規模・短期のものであり、顕著な改善を示した研究もあれば、限定的だった研究もあります。「再生」を断定的に保証する根拠は、まだ確立されていません。変化は数週間から数カ月かけてゆっくりと現れ、その程度は人によって異なります。ですからリジュランを検討中でしたら、「再生されるらしい」で止まらず、ご自身の悩みが肌の厚みやキメの問題なのか、それともボリュームの問題なのかを、まず分けてみてください。その判断がつけば、この施術がご自身の方向性に合っているかが、ずっとはっきりします。
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