
ブログ
肌の健康のための専門情報

肌の健康のための専門情報

季節の変わり目は、肌が乾燥しやすい時期です。洗顔後につっぱり、午後にはメイクが浮いてくる。そんな乾燥の相談で「コラーゲンブースター」という言葉が出てくると、首をかしげたくなるかもしれません。
乾燥の相談なのにハリの施術の話が出ると、不思議に感じるかもしれません。
勧めすぎではないかと感じるのは自然なことです。乾燥には保湿、たるみにはコラーゲン。多くの方がそう分けて考えています。
私の見方では、「乾燥している」という言葉の中には二つのことが混ざっています。肌のいちばん外側にある角質層(角層)が水分を抱えておけない乾燥と、その下の真皮が薄くなり、内側から乾いたように感じる「内側の乾燥」(いわゆるインナードライ)です。同じ言葉でも起きている層が違い、対処の方法も分かれます。
ポイントまとめ
- 私は肌の乾燥を、表皮(角層のバリア)側の問題と、真皮(コラーゲンと水分を保つ基質)側の変化に分けて考えています。
- 健康な角層は水分を10〜30%ほど含み、10%を下回るとごわつき始めます。こちらは保湿とバリアケアの領域です。
- 真皮の主成分はコラーゲン線維(皮膚の乾燥重量の約75%)で、体全体のヒアルロン酸の約半分は皮膚に集中しています。成人期の皮膚コラーゲンは年に1%前後ずつ減るという報告もあります。
- 保湿剤を1か月以上続けても内側のつっぱりが残り、肌が薄くなった感じや小じわも出てきた場合は、真皮側を確認する必要があります。
- コラーゲンブースターがねらうのは、真皮の厚みとハリです。純粋にバリアが原因の乾燥であれば、私はおすすめしていません。
どちらの可能性もあるため、まず見分けることが大切です。韓国・明洞院では、乾燥を二つに分けて診ています。角層のバリアが崩れて水分が逃げていく表皮型の乾燥と、真皮のコラーゲンや水分を保つ基質が減り、内側が乾いたように感じる真皮型の変化です。
まず表皮から。顔の表皮は0.1mmにも満たない薄さです(メタ解析で約80〜95µm)。そのいちばん上の角層は、レンガのように積み重なった細胞のすき間を脂質が埋め、水分が逃げないようにしています。この脂質の半分近く(重量比で40〜50%)がセラミドです。健康な角層は水分を10〜30%ほど含んでおり、10%を下回ると肌がごわつきます。
真皮は事情がまったく異なります。厚さは1〜2mmと表皮の10倍以上あり、主成分はコラーゲン線維です(皮膚の乾燥重量の約75%)。線維のすき間をヒアルロン酸などの水分を保つ基質が満たしていて、体全体のヒアルロン酸の約50%が皮膚に集まっています。

同じ「乾燥」でも、左は表皮の角層バリアの問題、右は真皮のコラーゲンや基質が減った変化です。
保湿剤を最低1か月は続けて使い、肌の反応を見てください。つっぱりや角質が落ち着けば表皮型です。表面は良くなったのに、内側のつっぱりや薄くなった感じが残る場合は、真皮側の変化を疑います。
1か月とする理由があります。表皮の底で生まれた新しい細胞が角層まで押し上げられて入れ替わる(ターンオーバー)には、文献上28日から40日台かかります。数日クリームを塗っただけで「効かない」と判断するのは早すぎるのです。
私が乾燥のタイプを見分けるときの目安は三つあります。

三つの質問で、ご自身の乾燥がどの層寄りかをまず確認してみてください。正確な判断には、肌の状態を直接診察する必要があります。
⚠️ 知っておきたいこと - 二つが重なって起こることもあります。年齢とともに真皮が少しずつ薄くなっているところに、季節の変わり目のバリア低下が重なるようなケースです。その場合はまずバリアを落ち着かせ、それでも残る部分を真皮側として考えます。
| こんな乾燥なら | まず見る層 | まずすること |
|---|---|---|
| 白く粉をふく角質、洗顔直後のつっぱり | 表皮(角層) | セラミド配合の保湿、洗顔の回数とお湯の温度を見直す |
| 季節によって良くなったり悪くなったりする乾燥 | 表皮(角層) | 保湿ケアの見直し、室内の湿度管理 |
| クリームを使っても残る内側のつっぱり、インナードライ | 真皮(水分を保つ基質) | スキンブースターを検討 |
| 肌が薄くなった感じ、乾燥するほど目立つ小じわ | 真皮(コラーゲン構造) | コラーゲンブースターを検討 |
真皮の水分は、コラーゲンの網の中に保たれているからです。韓国・明洞院で私がこの部分を診るとき、基準にしているのは次のようなイメージです。コラーゲン線維が真皮の骨組みをつくり、そのすき間をヒアルロン酸などの基質が水を含んだ状態で満たしています。年齢とともに骨組みと基質の両方が減り、内側で水を保てる場所が少なくなっていきます。
根拠もいくつかあります。成人期の皮膚コラーゲンが年に1%前後ずつ減るという古典的な測定があり(Shuster 1975、前腕の皮膚)、加齢した肌では真皮のグリコサミノグリカン(ヒアルロン酸を含む水分を保つ基質)も減少し、その量が肌の水分量と連動するという研究もあります(Ohら、J Dermatol Sci 2011)。
そのため、クリームを続けて塗っても内側がかさつくなら、保湿剤が届かない真皮側もあわせて確認する必要があります。保湿剤は角層を満たしますが、その下にある真皮の骨組みまでは届かないからです。

真皮の水分はコラーゲンの網のすき間に保たれています。網がまばらになると、水を保てる場所も一緒に減ります。
コラーゲンブースターが働きかけるのは、この骨組みです。生分解性の成分が真皮の線維芽細胞を刺激し、コラーゲンを新たにつくるよう促す仕組みです。私が共著者として参加し、今年 Journal of Cosmetic Dermatology に掲載された研究では、紫外線で光老化を誘導したマウスの皮膚に液状PCL(ゴウリ)を注入したところ、真皮の厚さが941.9µmから1266.1µmへ、コラーゲン密度が22.1%から40.0%へ回復しました(p<0.001、DOI 10.1111/jocd.70950)。
ただし、これはマウスを対象とした前臨床研究の結果です。人で同じ程度の変化を約束する数字ではなく、乾燥感を直接測定した研究でもありません。このデータが示しているのは、マウスにおいて、液状PCLが薄くなった真皮を再び厚くする方向に働く可能性があるということです。それが乾燥感の改善にどの程度つながるかは個人差が大きく、お約束はできません。
角層のバリアは保湿とバリアケア、真皮の水分とキメは水光注射・スキンブースター、真皮のコラーゲン構造はコラーゲンブースターが担当します。乾燥がどの層から始まったかによって、この三つのどこから始めるかが決まります。

同じ「乾燥肌の施術」でも、働きかける深さが異なります。症状が始まった層に合わせて選びます。
二つのカテゴリーが成分から経過までどう違うかは、スキンブースターとコラーゲンブースターの違いで別に比較しています。ここでは順番だけ覚えておいてください。製品名よりも、ご自身の乾燥がどの層から来ているかが先です。
純粋に角層のバリアが崩れたことによる乾燥であれば、私はおすすめしていません。真皮を整えても角層の水分の問題はそのまま残るため、時間と費用をかけても「やはり乾燥する」となりやすいからです。
次のような場合は、別の方法が先です。
デメリットも先にお伝えします。内出血や腫れが数日続くことがあります。コラーゲンを刺激するタイプは、注入の深さや量が適切でないと、まれにしこりが触れることがあり、ヒアルロン酸フィラーのように酵素で溶かして元に戻す方法もありません。そのため、まず真皮型かどうかを確認し、量も一度に多く入れるより、反応を見ながら分けて進めるのが適切だと考えています。

どの層をケアするにしても、出発点はバリアが穏やかに安定した状態です。
いいえ。角層のバリアの問題であれば、保湿と洗顔習慣の見直しで対応します。クリームに反応がなく、肌が薄くなるサインも重なったときに、はじめて施術を検討する意味が出てきます。
真皮の水分とキメに働きかける施術なので、インナードライの改善が期待できる場合があります。ただし、角層のバリアが崩れて起きている乾燥であれば、水光注射を受けても表面は再び乾くことがあります。バリアケアは並行して行う必要があり、実感や持続期間には個人差があります。
コラーゲンブースターがねらうのは、真皮の厚みとハリです。変化も数週間から数か月かけて現れます。真皮が薄くなって生じる内側のつっぱりとの関係は個人差が大きいため、うるおいを期待できる効果としてお伝えすることは難しいと考えています。
働きかける層が異なるため、必要に応じて時期を分けて併用することもあります。一度にまとめて入れても結果が大きくなるわけではなく、バリアが敏感な状態であれば、順番と間隔をあけるほうが安全です。どの組み合わせが合うかは、肌の状態を確認してから決めます。
「乾燥している」という一言には、角層が水分を逃がしてしまう問題と、真皮の骨組みが薄くなる変化の両方が含まれています。前者は保湿とバリアケア、後者はスキンブースターやコラーゲンブースターの領域です。
乾燥肌の方にコラーゲンブースターをおすすめするときも、おすすめしないときも、私はまずその乾燥がどの層から来ているかを見ます。クリームに反応するか、季節で変わるか、肌が薄くなった感じを伴うか。この三つを先に確認していただくと、今必要なのが保湿なのか施術なのか、ずっとはっきりしてくるはずです。
#乾燥肌 #インナードライ #肌の乾燥 #乾燥肌の治療 #ハリ不足 #水光注射 #スキンブースター #コラーゲンブースター #ゴウリ #肌のバリア機能 #真皮 #フォーエバークリニック明洞院